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『中国の歴史 上』を読んで

公開日: : 最終更新日:2014/08/10

『中国の歴史 上』を読んで

こんにちは!
今回は、アマゾンレビューなどでも評価の高い、『中国の歴史 上』(貝塚茂樹著、岩波新書、1964.9.25)の感想を書きたいと思います。
まずこの本、上中下の三冊本になった中国の通史となっています。そして著者は貝塚茂樹さん。
中国史の巨匠「宮崎市定」さんの弟子に当たる人です。
貝塚さん自身も中国歴史家の中では巨匠とされており、なんとこの『中国の歴史』は1964年の刊行以来、2011年までに58回も刷直されています。

読んでみてまず思ったのは非常に【わかりやすい】ことです。
上巻では「中華民族の起源~三国時代の到来」を扱っているのですが、
この広い範囲の内容が、新書という字数制限の中にみっちりと詰め込まれており、一文一文が充実していました。
恐らくこの本が長く読まれ続けている所以は、このわかりやすさと内容の濃さの絶妙なバランスにあるのでしょう。

さて本の紹介はさておき、2点ほど自分が面白いと思ったところを紹介します。

1.甘英は安息(パルチア)国を経て条支(シリア)国に達し、地中海岸から船出しようとした。東西中継貿易を独占していたシリア商人は、甘英の渡航によって、その利益が失われることを心配して船員をして甘英にいわしめた。海洋は広大で、たとえ順風に乗ってもローマまでに優に3月を要する。もし逆風にあうと二年はかかるであろうと。長途の旅行に望郷の重いにかられる隊員を抱えた甘英はついに航海を思いとどまざるをえなかった。(p.193)

紀元後96年、西漢の部将甘英は大秦国(恐らくローマ帝国)への使いに任命されました。彼は部下を引き連れてシリアに至ったものの、上述の通り海を渡らず帰りました。ここからわかるのは西漢は当時西方の大国としてローマ帝国を認識しており、(しかも大秦国という名前から夷狄として出はなく文明国として)もし甘英がローマに達し、東と西の大帝国が出会っていたら、東西交益はその質と量に変化はあったのでしょうか•••。非常に興味深いものです。

 

2.赤壁の戦いは中国の歴史の運命をかえる大決戦の一つであった。もし曹操がこの戦闘に勝利をおさめていたならば、魏の統一帝国がその後誕生し、曹操の優れた政治的手腕によって、かなり強固な安定した国家を作り上げえたにちがいない。(p.209)

赤壁の戦いと言えば、呉と蜀が提携し、強大な魏に勝利をおさめた戦いとして中国史上で有名な戦いのうちの一つです。この戦いの後、呉魏蜀の三国は戦力がある程度拮抗し、3国時代へと突入しました。もし、曹操が中国を統一・統治していたらどうなったのでしょうか。政治的には安定したかもしれませんが、呉や蜀であった地域は軍事上の対抗が必要なくなり、栄えなかったかもしれない。そうすると、現在の中国にも違いがあったかもしれない。いろいろな未来が考えられます。
以上二つ例を挙げましたが、どちらも歴史の「if」を考えさせられるものでした。
基本的に歴史に「if」はないとされますが、僕はちょっと異なった考えがあります。
現在の世界というのは歴史の積み重ねによってできています。そして、赤壁の戦いで曹操が敗れた、というように一つの結果が他の結果を排除してきました。それらを一般的に歴史的事実と呼び、普遍的なものとされています。

しかし、E.H.カーではありませんが、歴史というのは歴史家が史料を読み解釈した後、作られたものです。そして歴史家という個人の観点や、その歴史家の生きる時代の背景が少なからず解釈に影響しています。そのため、時代が変われば歴史の異なった解釈も可能であるし、進出史料によって「勝利→敗北」というように変化することもあります。

歴史に「if」はないのかもしれませんが、歴史の解釈が変動的である以上、今は「if」のストーリーであっても、解釈や新史料などによって実は現実となる可能性もある。こういった風に僕は考えます。

面白い!!

 

・・・・はい、文章が長くなりすぎましたね(^_^;)途中で本の内容ではなく、自分の意見をぶつける感じにもなってしましました。

とりあえず改めて言うと、『中国の歴史 上』非常に面白かったです。中巻、下巻と読みすすめていきたいと思います。
皆様もぜひ本屋などで手にとってみてください!

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