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三民主義を読んで2~民族主義~

公開日: : 最終更新日:2014/08/10

皆さんこんにちは。
以前2月に投稿したっきり止まっていた、三民主義の第二回「民族主義について」を今回は書きたいと思います。
ちなみに、なぜこんなにも期間が開いてしまったのかというと、私生活が少し忙しかったのと、他の本ばかり読んでしまっていたからです。

孫文の民族主義とは

言い訳はさておき、三民主義のうちの「民族主義」は何について言っているのでしょうか。
まず、孫文の言う「民族主義」の定義は本の中では【国族主義】と同義だと述べています。国族というのは一つの国の人民の集合体のことで、国民とも個人的には解釈しました。ただ、それだけではなく彼は中国の【家族】【宗族】も持ち出しました。つまり、中国人の【宗族(同一祖先の血族集団)】【家族】のためには身を滅ぼしても助ける、というような強固な団結を、国民単位でも反映させたものが【国族】そして【中国民族】というわけです。

この【中国民族】が形成されることによって、国が一致団結できるようになる、という考え方が孫文にとっての「民族主義」であったのですね。

民族主義をなぜ主張するのか

さて、ではなぜ孫文はここまで「民族主義」を主張するのでしょうか。それは、恐らく皆さんも知っているかと思いますが、それは当時の中国のおかれた状況に答えがあります。
孫文は当時中国は、「政治(領土)支配」「経済支配」「多民族増加による中国民族の相対的減少」という3つの危機に直面している、と述べました。これが列強による支配を指していることは用意に推測できます。そして彼はそのような状況にある中国を、【次植民地】としました。【次植民地】とはその名の通り【植民地に次ぐもの】で、複数の国によって支配されるのは、一国にのみ支配されている植民地よりも劣るものとされました。

こういったことから孫文は「民族主義」によって国が一致団結し、【次植民地】を脱すべく外国に対抗することを望みました。

ここで少し興味深いのは上で記した3つの危機に、人口に関するものが入っていることですね。孫文は列強諸国の人口が増えるに伴って、中国民族の人口が相対的に減少することを恐れました。それは、彼は民族の滅亡というのは他民族への同化にあり、一つの民族の他民族への同化というのは、二つの民族が同地域に暮らし、尚且つ一方の民族の人口が他方の民族の人口よりも大きく下回る時に発生すると考えていたからです。だからこそ、支配者である列強の人口が増え(産業の発展で)中国の人口が増えないことに危機感を覚えたのでしょう。
この人口という点については他にも色々考えられることがありますので、また後ほど考察したいと思います。

民族主義をどのように広めるか

さて、孫文の「民族主義」について知った上で、次は彼がそれをどのようにして広めようとしたのか、説明したいと思います。まず第一に中国民族に中国に危機が迫っていることを知らせること。そして次に異民族王朝の清朝の思想弾圧によって失われた民族主義を取り戻すことにあります。前者に関しては理解に苦しみません。つまるところ、人間は危機を本当に認知すればそれに抵抗する動きに積極性が増す、ということです。ただ、後者に関しては少し理解しかねています。おおよそ考えるところでは、66ページに

そこで自分の国家を「中国」とよび、「大統一」と自称した。「天に二つの日はなく、民に二人の王がない」(『孟子』万章上)とか、「万国の貴人はみな中国から冠の珠玉をさずけてもらう」(王維『早朝詩』)というのは、すべて中国が亡国になる以前、すてに民族主義から世界主義に徐々に進みつつあったことを語るものである。

と書いていることから、清朝以前の中国民族が世界の中心となる偉大な民族という、「中華思想」が清朝以前の民族主義のことを指していたのでしょうか・・・。
ちょっとここ理解しにくいですね。もし読者の方で分かる方がおりましたら、ぜひコメントに解釈をよろしくお願い致します。

如何にして中国民族の地位を取り戻すか

理解不足の点がありましたが、民族主義の広め方について大体は分かったかと思います。それでここから一歩進めて、孫文は如何にして【中国民族の地位を取り戻すか】について述べています。
中国には古来より、忠孝、仁愛、信義、平和などの優れた道徳観念があり、それを古いものとせず、知識青年によって考えられている「新しい」ヨーロッパの思想・制度と上手く融合させることで、より良いものが生まれ、中国民族は再び華々しい地位を得る。そしてヨーロッパ人とは違い、中国人は平和を愛することから、中国民族の復興とその拡大は世界に平和をもたらす。
こういったことを彼は考えておりました。

 

考察

以上が三民主義のうちの「民族主義」の概要となります。孫文の思想を代表する一項目として、彼が中国の復興のために考え抜いたことが伺えます。

ただ先ほど少し触れたのですが、孫文の人口に対する考え方で一つ気になった点があります。それが以下の文に表れていると思うので、読んでみてください。

中国の民族について言えば、総数は4億、そのなかには、ただ数百万の蒙古人、百余万の満州人、数百万のチベット人、百数十万の回教徒のトルコ人が混じっているだけだ。外来人の総数は一千万人にすぎない。そこで、大多数について言えば、4億の中国人は、まったく漢人であるといってよい。同一の血統、同一の言語文字、同一の宗教、同一の風俗習慣を持ち、まったく一つの民族である。(p.19)

中国では、われわれは人口が多いのだからやすやすと消滅されはしない、とつねに自慢している。元朝が中国を支配しても、蒙古民族は中国人を消滅できなかっただけでなく、逆に中国人に同化されてしまった。中国は滅びるどころか、蒙古人を吸収してしまったのだ。また、満州人は中国人を征服し、二百六十余年にわたって治めたが、その満州民族も中国人を消滅できず、逆に漢族に同化されて漢人に変わってしまった。(p.28)

天は、われわれを消滅させなかったのみか、むしろ繁栄させ、4億の人間を育ててくれた。(p.33)

一つ目の文章は中国の人口について述べたところだったのですが、4億の中の大多数が漢人によって占められることを背景に、4億の中国人はまったく漢人であると述べています。4億に比べて数は少ないにせよ、蒙古人、満州人、チベット人、トルコ人は確実に存在するにも関わらずです。そして下の二つの文を見て分かるとおり、孫文は中国人と漢人をほぼ同義に使いつつ、更に後の記述で中国の人口を4億と書き続けていきます。

少し話は飛びますが、現在、中華人民共和国は漢民族が中心となっており、特にチベットやウイグルにおいては漢人による支配が強く、たびたび問題になっています。この問題の一端に中華人民共和国の【民族区域自治制度】にあります。『20世紀中国の国家建設と「民族」』(王柯著、東京大学出版会、2006.6)から少々引用すると・・・

①少数民族人口が中国人口総数の6%にすぎないこと②少数民族の②多くは漢族と雑居していること
③歴史上、漢族が支配民族であったと同時に被支配民族になったこと
④ 少数民族地域は資源が豊かな反面技術が遅れ、漢族地域は技術が優れている反面資源が乏しかったため、昔から両者が一つの経済共同体として共存してきたことなどである。

となります。①②③についてみれば孫文の考え方と似ているように思えないでしょうか。
ここから推測できるのは、現代中国の漢民族中心の考え方は、実は孫文の思想にも共通しており、当時の中国から現在の中国までの連続性をうかがうことができます。したがって、現代中国の民族問題を考える上で、孫文の「民族主義」は研究に値すると僕は考えます。

「民族主義」は中国の民族問題を考える上で、必ず重要なものになると考えていました。そしてそれがそもそも今回孫文の『三民主義』を読もうと思った理由でした。そういう意味で孫文の「民族主義」を理解した以上、やることは達成したのですが、後に続く「民権主義」「民生主義」興味深いものでしたので、何とか最後までまとめて、考察していきたいと思います。

ということで、非常に長くなりましたが今回はここで終了となります。最後まで読んでくれた方、お疲れ様です。そしてありがとうございました。

第三回の「民権主義について」はまとめ次第投稿します。(恐らくまた期間開きます^^;)

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