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『中国の歴史 中』を読んで

公開日: : 最終更新日:2014/08/08

こんにちは!

今日は以前読んだ『中国の歴史 上』に続いて、『中国の歴史 中』(貝塚茂樹著、岩波新書、1969.4.20)を読んでの感想を書きたいと思います。

以前も言いましたが、この本は新書という限られた文字数の中で、非常に広範な時代を扱っています。
今回の読んだ巻では、後漢滅亡後の西晋・東晋から元に至る時代を扱っており、年数にすれば約1000年! 驚くべき長さですね。

三国時代以降の時代と王朝

さて気になる本の内容についてですが、この本で学べるのは、中国という地域では如何に複数の王朝が変わってきたか、ということです。以下、この本に基づいて、その王朝の勃興の流れ簡単にを見ていきます。少々長くなりますが、お付き合いを!

280年、呉魏蜀の三国時代が終わり晋が統一したのもつかのま、政治的腐敗などによる混乱に乗じ「匈奴」「烏桓」「鮮卑」「氐」「羌」と呼ばれる異民族が流入し、中国北部の華北地域にて主導権の取り合いが発生しました(五胡十六国時代)。もともとの晋の王室は南下しそこで宋王朝として生まれ変わり、北では最終的に鮮卑が実権を握り、後魏王朝を立て、中国大陸では南北に二つの王朝が並立するようになりました(南北朝時代)

晋の崩壊から上記のような異民族による主導権争いは250年以上も続き、その終止符を打ったのが隋王朝でした。隋は成立後37年で崩壊してしまったものの、その制度を多分に引き継いだ巨大な帝国、唐がその後成立します(隋唐時代)。唐は約300年にわたって中国を統治し、更には唐に至るまでに主導権を争った異民族を内包しており、また朝貢関係によって中央アジア、朝鮮、日本、東南アジアとも関係を持った多民族王朝でした。

しかし、この強大な唐も政治・経済・農業の不安定化によって契丹や突厥などの民族が勃興し、907年に滅亡した後、中国は僅か54年間に中原に5つの王朝が興亡した時代に突入しました(五代十国時代)。この時代は後梁(17年)→後唐(13年)→後晋(10年)→後漢(4年)→後周(10年)というように立て続けに王朝が興亡し、最終的には宋王朝が成立しました。

宋は久しぶりの漢民族中心の王朝でした。特に夜市などの出現による商業の発展がこの時期に見られ、中国思想上で重要な朱子学もこの時期に生まれました。ただ、この宋王朝もやがて女真民族によって滅ぼされます。そして、その後中国大陸を支配したのは、広くユーラシア大陸をも手中に収めたモンゴル帝国(元王朝)でした。モンゴル帝国は世界史上でも有数巨大帝国であり、1206年~1634年の間ユーラシア大陸に座位していたとされています。しかし、中国における支配、つまり元王朝による支配は長期間には及ばず、1271年~1368年の約100年間にとどまりました。

多民族国家としての中国

以上が、この本の内容に沿った簡単な王朝の興亡史です。これを見て素直に感じるのは、中国の歴史において「漢族」以外の「異民族」が果たした役割の大きさですね。現在、私たちが中国、若しくは中国人と聞いてて思い浮かべるのは恐らく、日本と似た黒髪の「漢族」だと思います。しかし、この歴史を見ると中国の性質を知る上で、「漢族」だけによる中国と考えることは出来ません。実際、少しこの本の範囲から外れますが、「漢族」が主体となって統治した王朝は、「漢」「宋」「明」に限ると言われており、現在の中華人民共和国においても「漢族」に加えて、55の少数民族が存在しています。

このように、中国は今でこそ「漢族(≒中華民族)」による国民国家であると認識されることが多いですが、その実は非常に多様性に富んだ多民族国家の要素を持っているのです。それゆえに中国を考える上で、単一民族による国民国家をイメージしていては、ズレや誤解を生じかねません。そして、私たちが仕事や大学の中で中国人と触れ合う場合でも、中国の多民族性を理解できていたのなら、より深い交流ができるのではないでしょうか?。
最後に

さて、こんな感じで【読んだ本の内容+ちょっとした意見】をまとめてみました。ただ、今回触れたのは王朝の興亡についてのみにすぎず、実際この本にはそれぞれの王朝の政治・経済制度や、文化、思想なども完結にまとめられています。
僕自身一回読んだものの、見落としている点も多々あるので、再度読んでみようと思います!

それでは、失礼しますm(_ _)m

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