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サルトルの『嘔吐』を読んで

公開日: : 最終更新日:2014/08/10

嘔吐

皆さんこんにちは。記念すべき第一回目の投稿です。
今回は、先週読み終えた現代哲学者、ジャン-ポール・サルトルの『嘔吐』(ジャン-ポール・サルトル著、鈴木道彦訳、人文書院、2010.7.20)について紹介したいと思います。

まずサルトルと言えば、「実存主義」が有名ですね。実存主義とは簡単に言えば、
「あらゆるものの存在はその存在に意味などはなく、ただそこに存在している。本質に先立って実存がある」
ということを述べています。

そして、人間という存在の意味は、例えば全ての大学生が遊びほうけていれば大学生は遊ぶ存在、全ての大学生が熱心に勉強していれば大学生は勉強する存在、というように一人一人の人間の行動・未来への投機によって形作られていくとされました。

アリストテレスの「形相と質量」、プラトンの「イデア論」など、あらゆる事物には、根源的な存在意義(本質)があるとされる古代中世思想と大きく異なるのが、この「実存主義」なのです。

 

さて少々長くなりましたが、『嘔吐』の内容について入ります。先に明確にしておくと、この本はサルトルが自身の思想をわかりやすく伝えるために書いた【小説】です。したがって、この本における「私」はサルトルでなく主人公のことを示しています。
とりあえず、僕が読んだ中で気になったところのうちの3つを挙げます。

1.「私は存在する、といったつらい考察だが、それを続けているのは私である。この私だ。肉体ならばいったん始まれば後は一人で生きていく。しかし思考はこの私が継続し、展開するのだ。私は存在する。私は存在すると考える」・・・p.166

2.「根や、公園の鉄柵や、ベンチや、禿げた芝生などは、ことごとく消えてしまった。物の多様性、物の個別性は仮象にすぎず、表面を覆うニスにすぎない。そのニスは溶けてしまった。あとは怪物じみた、ぶよぶよした、混乱した塊が残った。-むき出しの固まり、恐るべき、また猥褻な裸形の塊である-」・・・p.212

3.「存在は必然ではない。存在するとは単に、そこにあるということなのだ」・・・p.218

この3つを挙げたのは、ここに存在に関する考察が凝縮されていると思ったからです。
まず一つ目は、主人公が「存在」概念について考え、苦悩する様が描かれています。
そして二つ目は、存在発見のクライマックスとされており、視覚等の感覚される性質を剥ぎ取った後に残るのは、【秩序ある実体(本質)】ではなく【不条理な裸形の存在】であることを示しています。
これらを受けて最終的には、存在には意味などはなく【ただそこにある】だけだ、という結論にたどり着いています。

つまりサルトルはこの本を通して、存在の無意味性を伝えたかったのですね。

 

以上が『嘔吐』の大まかな概要になります。ただ、この小説がサルトルの思想を完璧に著されているのではなく、この本が出版された後に出た『存在と無』が彼の思想の完成であるとされています。『存在と無』。すごく読んでみたいですが、ものすごく難解らしいです。
いつか僕でも読んで理解できる日がくると良いですね(^_^;)

とりあえずこんな感じで第一回目の投稿を終えたいと思います。
ご拝読ありがとうございました!

 

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