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異文化の中で生きる

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こんにちは!
突然ですが、皆さんは外国で生活したことがありますか?
最近は観光、留学、ボランティアなど、より多様な形で外国に行くことが出来るようになりました。そのため恐らく多くの日本人が以前よりも、外国を身近に感じられているのではないかと思います。

しかし、いくら行きやすくなったとは言え、そこが外国である以上、文化の違いから来る苦悩はなくならないものでしょう。今回は外国にあって、異文化の中で生きることに様々な苦悩を抱えた日本人を描いた、遠藤周作の『留学』という本を紹介したいと思います。

 

 本の構成

この本はヨーロッパに留学して文化の違いに苦しむ日本人をテーマに「ルーアンの夏」「留学生」「爾も、また」という3部作となっています。話としてはこれら3部に連続性はありません。それぞれの話にそれぞれの味があるのですが、中でも僕が一番面白いと感じたのは、3部目の「爾も、また」でした。舞台はだいたい1960年ごろのフランスで、フランス文学を日本の大学で教えている田中(助教授)がフランスに留学した一年間を内容としています。

当時は今ほど簡単には留学できず、田中もやっとのことで留学をすることが出来ました。また留学するものが少ない故に、留学をすれば1つのステータスとして大学での地位も確立されることも多かったため、田中は非常にこれを喜び、誇りとしていたようです。

 

田中の受難1

しかしいざフランスに来ると、タクシーで使うような簡単な表現でさえ上手くフランス語で伝えることができず、田中のプライドに傷がつきます。

研究室で学生に命令する悦ばしい感情や、仏蘭西語の原書を抱えて大学の構内をみがまえながら歩いていく時の自身などが次々と剥れて音を立てて滑りおちるのを感じた。(p72)

元々この田中という人物は変にプライドが高く、例えばフランス行きの飛行機の中でも、自分は大学の先生だということで他の日本人を俗物とみなして話しかけようともしませんでした。こんなプライドの高い人物が、自分の専門分野であるフランス語において日常会話でさえも通じなかった。それは彼にとって非常に屈辱的な出来事だったのでしょう。

 

田中の受難2

こうしてフランスに着いた傍から意気消沈した田中に続いて襲い掛かったのは、生活環境の違いです。

「建物も石、歩道も石。田舎に行っても、日本人の生理には合わない風景ばかりです。田中さん、日本人は結局、日本人ですよ。」

これはフランスで出会ったとある日本人が田中に対して放った言葉なのですが、ここに書かれている通り土や木に慣れ親しんだ日本人にとって石ばかりで作られた街というのは、なんとも落ち着かないものみたいでした。(現代の日本人がこの感覚を抱くかはわかりませんが)またホテルについて背広を脱いで裸足になってやっと落ち着いた、という描写もあり、フランスという国の生活が当時の日本人にとって苦しいものであったかが分かります。

 

田中の受難3

そして、最後に田中に降りかかった苦難は「結核」でした。

するとあの銀世界の上に吐いた自分の血は、日本人の血だったのか。それとも僅かではあったが、この西洋から体内に流し込まれたものに耐えられなくなって吐いた血なのか。

細かいことはここでは書かないのですが、フランス語が上手く通じなかったり、生活環境が適さなかったり、フランスにおける日本人のコミュニティに上手く馴染めなかったり、自分の研究について疑問をもったり、大学で自分よりも下だったものが自分を超えていったり、田中は留学期間中を通して非常に多くのストレスを抱えす。それらはいずれも「西洋」という「日本」とは異なる「血」が体内に入ってくるようなことでした。そうした血を身体から吐き出すという意味も付加され、田中はついに「結核」という思い病気にかかってしまいます。そして金銭的・環境的問題からフランスに残り治療することは叶わず、帰国せざるを得なくなりました。ここに彼の留学生活は幕を閉じます。

 

最後に

この小説はフィクションですが、特に「爾も、また」については、作者の遠藤周作自身がフランスに留学した際に経験したことに基づいているみたいです。実際彼も日本に帰国した後、肺結核にかかっています。まあ、現在においては外国に行って、これ程までに困難を経験することはあまり多くないかと思われますが、少なからず何かしらのストレスを抱えるものみたいですね。

私事にはなりますが、自分も今年の8月から留学に行く予定なので、ぜひともこれらのストレスに押しつぶされず、良い経験を積んできたいものです。

 

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