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「日本」とは何か

公開日: : 最終更新日:2015/08/14

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お久しぶりです。
なんだかんだ大学が忙しく、六ヶ月ぶりの更新となってしまいました(汗
書きたいことは色々と溜め込んでいたので、少しずつ書いていきたいと思います。

今回は「日本」とは一体如何なるものなのかについてです。
皆さんは「日本」と聞いてどのようなことをイメージしますか?
「日本国」「日本列島」「日本人」「日本文化」…などなど、色々なことがイメージできると思います。

しかし、多くの「日本人」が「日本」のことを正確に理解しているとは必ずしも言えず、むしろ様々な誤解が存在している、という意見があります。
「日本人」や「日本」という概念がどのような政治的、地理的、思想的意味が内包されるかは様々な意見がありますが、戦前の日本のような「神国日本」なるイデオロギーが再び生まれることを防ぐためにも、「日本人」自身が正確な自己認識を持つことは不可欠なのでしょう。

そういった意味で、今回は著名な歴史学者網野善彦氏の『「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)』を紹介したいと思います。

「日本」を改めて考える

この本では「進歩史観」からの脱却における一つのアプローチとして「日本」を再考することの必要性を説きます。

「進歩史観」とは簡単に言えば、人類の歴史は進歩の歴史であるとみなすもので、その観点に立つと現在の社会は過去の社会よりも優れている社会となります。しかし大規模な自然破壊による深刻な環境問題、原子力発電所による環境破壊など、発展を謳歌してきた人類社会は一つの限界に達しており、人類は自ら生み出したもので自らの存立を危うくしています。これが優れた社会の状況なのだろうか。今後さらに「進歩」していくことはあるのだろうか。こういった問題意識のもと、網野善彦氏を始め様々な論者が、「進歩史観」からの脱却を主張してきました。今必要なのは女性や子供、老人などの「進歩史観」が歌われる中で切り捨てられてきた人々に焦点をあて、より多面的な歴史像を浮かび上がらせ、今後の指針としていくことなのです。

このような状況の中網野善彦氏は本書で、「日本」というものについて「日本人」が常識のように考えていることを打ち破り、今まで考えられてこなかった「日本」の側面を明らかにすることで、より正確な列島観、自己認識に至ることの必要性を述べています。「日本社会は均質である」「日本文化の根本は稲、米である」「日本は孤立した島国である」などのような私達が一般的に考えていることも少なからず誤解をはらんでいるのです。

中々衝撃的な内容ではありますが、「日本」という国がどういうものか、改めて考え直す上で非常に良い本であるといえるでしょう!

 

……と、ここで書き終えても良いのですが、具体的な内容を説明しないのもなんか無責任なので、一点だけ面白かった話を紹介したいと思います(^o^)/

 

「孤立した島国日本」の虚像

周知の通り日本は四方が海に囲まれています。そのため中国やヨーロッパなどと違い、他民族との接触が起こりにくかった、その是非はともあれ皆さんも一度は考えたことがあるかと思います。本書の著者である網野善彦氏も確かに日本は海に囲まれていたため、大陸のように地続きで他者による攻撃を受けることが少なかったと述べています。

しかし氏は続けて、その事実は日本が他民族との接触が歴史を通して少なかった、ということの証明にはならないとします。日本は北東アジア、東アジアなどと常に関わり続けていたのです。

では実際どのように関わっていたのか。それを一つ一つ紹介することはできないので、ここでは以下の地図を紹介するにとどめたいと思います。

アジア白地図-thumb-500x474
環太平洋諸国図・・・著作権の関係で実物の地図は掲載できませんでした。下記のリンクのサイトにいけば見ることができます
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1510/kj00000275.html

 

これは「環日本海諸国図」といって、普段私たちがよく目にする日本近郊の地図の向きを90度ほど傾けた地図です。こうするだけで、普段の地図を見るときとは日本の地理的位置のイメージが全く変わってきます。朝鮮半島と対馬の近さ、樺太と大陸・樺太と北海道の近さを見ることができます。またそれに留まらず、日本海を中心においた、「日本」「朝鮮」「中国」によるヨーロッパにおける「地中海世界」のような内海世界もイメージできます。

僕はこれを見てものすごく衝撃的な印象を受けたのですが、皆さんは如何でしょうか?普段の見ている地図の見方を少し変えるだけで、日本の地理的イメージがこうも変わってくるのです。実際、近代国家が成立する以前の日本は、様々なルートを使って大陸と交流をもっていました。そして日本の諸地域を見ていくと現在であってもその交流の影響を見ることができるそうです。

 

以上、簡単にではありますが網野善彦氏の『「日本」とは何か 』の紹介しました。
「日本」について何か新しい知識が欲しい方、お勧めの一冊です!

 

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